2024 0626 「デ・キリコ展」、「日本水彩展」@東京都美術館
昨日は上野の東京都美術館で開催中のデ・キリコ展へ。デ・キリコは日本で人気があり前回の展覧会は10年前だったそうだ。その前がいつだったかは知らないが、1973年には鎌倉の県立近代美術館でデ・キリコ展があった。大学院の1年の時で、当時絵の展覧会へ行くことはほとんどなかった。マヌカンが2体ある絵の印象だけが強く残っている。背景は茶褐色だったと思う。今回同じ絵を見ることができるかと期待して出かけた。
展示は自画像5枚から始まった。形而上絵画・イタリア広場、室内、マヌカンと進んでいったが残念ながら記憶にあるマヌカンの絵は見つからなかった。今回の展覧会は70年の創作活動をカバーする回顧展で、絵画の製作年度は1910年から1975年にわたっている。一方、帰宅後ネットで調べたら1973年の展覧会は存命だったデ・キリコの自薦回顧展だった。作品リストを見ると油絵に限ると1点が1911年、1920年代と1930年代が3点づつ、圧倒的に1940年代以降で1973年作も1点あった。
キリコの絵にいわゆる見て気持ちがいい絵、あるいは家に飾って眺めたい絵はほぼない。今回はSECTION 4 ”伝統的な絵画への回帰ー「秩序への回帰」から「ネオバロック」へ”の絵はそれ以前の形而上絵画よりもピンとこない。あえて気にいった絵と言えるのは、上のパンフレットにもある《バラ色の塔のあるイタリア広場》、《預言者》、《谷間の家具》あたりだ。とはいえキリコを知るという点では得るところは大きかった。今回の展示は全て撮影不可だった。
1時間余りで見終えレストランへ向かうと長い列、幸いカフェは待たずに席があった。午後は日本水彩画会の公募展「第111回 日本水彩展」を見た。
80号までの大判の絵が上下2段に展示されたその物量に圧倒されたが、淡い水彩画ではないしっかり絵の具で塗り込まれた絵の質感に驚かされた。港と船、ほとんどが漁船の絵が多数あるのは興味深かった。やはり日本の漁港、湿気た黒い色調で漁船も決して美しくは描かれていない。その中では家にあってもいいと感じた絵2枚。
ここ数十年に建造された小型漁船はほとんどがFRP製だ。木造船には木を曲げる関係で自然に美しい曲線が存在する。しかしFRPだと型を作る手間も影響するのか乾舷もほとんど直線で構成されている。したがって古典的な船体の美しさは生じない。この点は欧米の漁船、例えば今でも木造で作られてもいるがほとんどはFRP製のロブスターボートとは異なる。
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